FDI World Dental Federationの2009 FDI Annual World Dental Congressがシンガポールにて開催され参加してきました。
http://www.fdiworldental.org/home/home.html

今月末に大阪で開催される第 39 回(社)日本口腔インプラント学会・学術大会において院長 吉本彰夫が発表を行うにあたり,類似発表を研究するためでした.

 

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1日目、9月2日は午前午後と下記演題を受けました。

Implantology  The State of the Science
James Ruskin, United States of America
Dean Morton, United States of America

James D. Ruskin先生はとても有名なフロリダ大学の教授です.
このシンポジウムでは,ビスフォスフォネート患者に対する対応や,ドクターが自分で治療可能かどうか症例の難易度を見極められていないことが問題である.
症例の難易度を各カテゴリー毎に区分し,リスク評価して検討することが重要である.つまり経験が十分でない場合には専門医に依頼することが必要であることを訴えられていた.

 

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夜にはWelcome Ceremonyに参加しました
FDIは100カ国を超える国々から歯科医師が参加し,盛大に執り行われました.
JAPANの国旗入場の際には,日本からの参加者数十人が総立ちとなり手持ち国旗を振りました.

 

2日目、9月3日は午前は下記演題を受けました
Esthetic Consideration in Implant Therapy
Mastering Procedures for Optimal Esthetics in Single Tooth Implant Restorations

Inaki Gamborena, Spain

数千人は入ろうかというメイン会場です.

Gamborena先生は正面のスライドの下に小さくライトが光って見える演題で講演されています.

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この後もインプラントのメインプログラムに従って受講する予定でしたが,スペインのGamborena先生は矯正治療を利用してでも審美インプラントを獲得するというこだわりを持たれていらっしゃったので,私は非常に興味を持ち質問をしに行きました.
すると,プログラムには掲載されていない,近隣のコンラッドホテルで開催されるノーベルバイオケア社主催の特別講演があるということでご招待していただけることになりました(^^)

いやあ・・・私の慣れない英語でもなんでも言ってみるもんです(笑)

興味のあることにはすぐに首を突っ込みたくなる性分なのですが、この性格は得することが多いので

結構気に入っています。

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Meet the Expert session at FDI 2009. 14:00~15:30

午前は数千人の前での講演でしたが,今回は十数名程度の非常にクローズドされたアドバンスのコースでした.日本人はもちろん私一人だけ(^^;)

これだけでもシンガポールに着た甲斐があったと思わせる非常に内容の濃いものでした.
Gamborena先生も非常に熱心で,参加者からの質問に丁寧に考え方と解説をしていただき,終了予定を1時間以上も延長してお付き合いくださいました.

例えば,下記の写真は上の前歯2本を失い,取り外しの入れ歯を使用されていた方の症例で,左が入れ歯を入れた状態で右が治療後の写真です.

暗い会場でものすごいスピードでスライドが流れていきますので綺麗に写せませんでした.
ただ呆然と見ると,インプラントで綺麗に治るんだなと感じられるかもしれません.

しかし,このような症例は非常に困難を極めます.このように治療できる先生は世界中に何人もいらっしゃらないと思います.治療方法を聞き,そのようにやれば出来るかもしれません.

私も同じ治療が出来るように細かくポイントを教えていただきました.

私にもできるという確信を持って帰国しました.しかし,そのような治療法を自分で考え編み出されたというのは感激しました.
またそれを惜しみもなく,外国人である日本人に教えていただけたことは非常に感謝しています。

本当、嬉しい!

 

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どのような治療法であったかは,私からはお話できませんが,このようなケースではいくつもの問題を抱えています.

・歯を並べたい場所に骨と歯ぐきが溶けてしまって無い
・インプラント治療を行うと不自然に長い歯になる
・インプラント治療を行うと不自然な歯ぐきになる
・インプラントとインプラントの間の歯ぐきが黒くなる

これを解消するために日本では何をするかというと,
骨が無いので,骨を造るいわゆるGBRをして,歯ぐきが足りないから上あごの歯ぐきから歯肉移植を行う.
これである程度解消されるということです.
ある程度だけなのです.
そして造られた骨は期間がたつと溶けてなくなる.さあ困った困ったとなる訳です.

これを解消するために,GBR後2本ではなく,1本だけのインプラントで延長ポンティックという技で克服するということも試みられています.
これは見た目綺麗です.費用や期間に制限がある場合,このような方法を選択する場合も有ります.
しかし,延長された部分に力が加えられると大きな回転力がかかってしまい,破折や緩みというトラブルに見舞われます.つまり咬んではいけないということです.
やはり2本のインプラントで両端をしっかりと支えるという手法とは強度的にも全く違うものといえるでしょう!
Gamborena先生はこれを見事にクリアされているのです.素晴らしい!感激しました.
吉本歯科医院にまた一つ大きな技(武器)を手に入れることが出来ました.この武器の種類が多ければ多いほど,多種多様な状況,困難な症例に対応できるようになる訳です.

 

 

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おみやげ
ついに購入することが出来ました.70Nトルクレンチです.
インプラントの即日荷重時にこれがあれば正確に70N以上のトルクを測ることが出来ます.
これはポルトガルのマロー先生に教えていただきました.日本では購入することが出来ませんので,海外の学会のたびに探していました.
吉本歯科医院ではオールオン4をはじめとして,早く歯を入れたいとのご希望に答えるべく,即時荷重さらには即日荷重を行うことが増えてきました.
オールオン4を行う場合,しっかりと強い力で骨に噛みこんでいなければ失敗になりかねません.
通常のインプラント埋入では10Nという弱い力で固定しても,数ヶ月半年という長期間待てば歯を入れることが出来ます
長くて太いインプラントが何本も入る骨がある患者様は30Nくらいでも問題なく早期に歯を入れられるのですが,歯周病で歯を抜かなければならなくなった患者様や骨が溶けてしまっている患者様の場合,残っているわずかの骨に対して固定を求めなければなりません.つまり70Nのような大きい力でのインプラントトルク値が必要になることがあります.
いままでは35N以上の場合は,手指感覚のみでトルクをかけていましたが,これで正確に70N確保することが出来ます.
楽しみです.

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