こんにちは

吉本歯科医院の院長、吉本彰夫です。

今日は、なぜ私がインプラント手術の際に、CT撮影、そして3D立体画像解析にこだわるのか、という

ところをお話させて頂きます。

下記の写真をご覧下さい。

Temp00001.bmp.jpg

これは先日、吉本歯科医院でインプラント治療(オールオンフォー)が終了した患者さまの顎の

状態を3D立体構築画像で見た状態です。

吉本歯科医院でインプラント治療を行う患者さまの顎の状態は、CT画像だけでなく

ここまで立体化されたものが手術前には手元にあり、シミュレーションを行ってから

実際の手術に入るような流れをとっております。

さて、この写真、黄色くうにょうにょとしているのが神経です。

本来骨の厚みがある患者さまの場合は神経の黄色い部分は骨の中に隠れているため

3D立体画像で真上から見た場合かくれて見えません。

この方の場合、骨が神経の出口(オトガイ孔)まで磨り減ったためにこのように写ります。

この神経は、ちょっと難しいんですが、下歯槽管(かしそうかん)といい

神経、血管が入っているトンネルのような管です。

オトガイ孔はその出口です。

左右片側の下唇および、オトガイ孔の皮膚の知覚を司る神経です。

もし手術であやまってこの神経を損傷すると、下唇およびオトガイ部が麻酔がかかったように

しびれてしまいます。

インプラント手術をしたあと、「顔がしびれだした」といった症状はこの重要な神経に

傷をつけてしまったことによって起こります。

Temp00005.jpg

この中で、インプラントにおいて執刀する歯科医師が最も留意しなくてはならないのが

下歯槽管神経との距離なのです。

インプラント体で下顎骨の中を走る神経やオトガイ孔から出た神経を傷つける可能性があるため

手術の前には必ずCT撮影をし、適正な長さのインプラント体の選択が必要となります。

従来のインプラント手術ではパノラマレントゲンを参考にして手術をしますが

なんといってもそれは平面図ですので、立体的に把握することは不可能です。

当然間違いが起こります。

 

私はよくこんなお話を患者さまにします。

 

あなたご自身が胃がんで主治医から説明を受けていると、想像して下さい。

医師A「私は名医なので、レントゲン一枚で手術は大丈夫です。3次元で把握できなくても、開腹後の勝負で大丈夫です。

医師B「私は名医です。しかし、あなたの安全と安心のためCT撮影をし、検査費用はかかりますが、精度が高く安全に手術に望みます。それ程重要なことなのです」

あなたはどちらの医師に命をかけた手術を依頼するでしょうか?

吉本歯科医院では、インプラント治療の前に必ず、血液検査、心電図検査、CT検査そしてCTデータ3D立体構築画像変換検査を受けて頂きます。

CT撮影だけでは不十分な部分をこの3D立体構築で把握します。

それはレントゲン写真だけでは絶対にわからない、3次元の患者さまのお口の様子が見えるからです。

私は、インプラント治療をはじめて以来、この工程を抜いて治療を行ったことはありません。

しかし、まだ日本では普通に、歯科医院でこのパノラマレントゲンだけでインプラント治療に臨む

先生も多くいらっしゃいます。おそらく8割くらいはそうでしょう。

今後、インプラントによる医療事故はさらに増えると予想されます。

たんに、インプラントが駄目になった、折れた、はずれた、ということだけでなく

インプラント手術によって神経が麻痺した、などといったことまで当然起こってくることでしょう。

それらすべては、執刀する歯科医師の技術の程度の問題、以前に

「患者さまの安全のためにやるべき工程をとっているかどうか」にかかっている、と私は思います。

吉本歯科医院でのインプラント手術は、通常の歯科医院が提示している価格よりも高いと感じられる

と思います。

しかし、「想定される危険性の排除」を費用でカバーするといった吉本歯科医院の考え方を

きちんとご理解される方が増えてこられた、ということは

私にとってもとても嬉しいことでもあります。

私の診療理念は「私自身や私の家族、吉本歯科医院のスタッフにできる治療かどうか」

があらゆる治療の基本にあります。

インプラント治療においてのCT撮影、画像解析、歯科麻酔医師による静脈鎮静麻酔、

メーカーの基準など、絶対にはぶけない工程です。

たしかにそこをひとつひとつはぶいていくことにより費用は安くなります。

しかし、長い人生を考えた時、トータルの費用は決して安くはありません。

どこかの工程を省くことにより必ず故障が出てくるからです。

故障した時、どうしましょう?

やりかえたらいいでしょうか?

いいえ、やりかえることはできません。

一度植え込んだインプラントを外す時、その支えている骨を大きく削り取ってはずさなくては

なりません。

ただでさえ骨が少ないところをさらに骨を削らなくてはいけなくなってしまうのです。

インプラントをお考えの方は、10年後、20年後のことを見据えて治療をご検討されることを

私はおすすめしております。

そうはいっても、患者さまご自身では、どんな状況が想定されるかなど

イメージもつかないと思います。

ですので、吉本歯科医院では、これから治療を受けられる患者さま、また治療をご検討の患者さまに対してどんどん詳しい情報をお出ししていこうと思っています。

それは、ブログであったり、ホームページの内容であったり、患者さまにお渡しする資料であったりしますが、その全ては患者さまに「そんなこと知らなかった」「もっと早く教えて欲しかった」と後悔していただきたくないためでもあります。

歯医者さんに行ったら「あとはおまかせ」になるのではなく、ご自身できちんとした知識をお持ちになり、担当した医師と対等に話ができるようになれば最高です。

 

 

 

 

 

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