香川県高松市の

かみあわせ専門
吉本歯科医院の吉本彰夫です。
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ハイブリッドセラミックで白い歯にできると聞いたのですが

ハイブリッドセラミックとは何ですか?というご相談をよく頂きます。

 

ハイブリットセラミックについて

お話しますね。

ハイブリッドセラミックとは?

ハイブリッドセラミックスというのは、セラミックスという名前が入っているのでセラミックのような白い綺麗な歯の材料なのかな?と思われる方は多いですが

実はセラミックスとは全く違います。

 

いわゆるレジンというプラスチックです。

 

レジンとは、プラスチック素材でできた歯の修復物のことです。

 

ハイブリッドセラミックというのはいわばプラスチックのことなんですね。

内容物はレジン(プラスチック)とセラミックスの材料がちょっとだけ混ざっているもの、です。

で、ハイブリッドセラミックスという名前がついているんです。

ちょっとややこしいですよね。

 

被せ物を選ぶのは家を建てるのと同じ

例えば家を建てると想像してみてください。

家を建てる時、基礎は大事ですよね。

その基礎がどの程度頑丈にできているのかによって、家の強度が変わってきます。

例えば家を作るのであれば平屋が作れる程度の基礎であるのか

2階建てが作られる強度を受けれるだけの基礎であるのか

3階建ての力を受けいれるだけの基礎であるのか

というふうに考えていただくと、基礎でも全く必要とされる支える強度が違います。

家を建てる時は

土台の基礎にどれだけの力がかかってくるのかを考えて強度を確保していかなくてはいけません。

 

歯の治療も実は同じです。

 

どれだけの強度に耐えられますか?

歯の治療をした後、被せ物をする時に最も重要なことは「どれだけの強度に耐えられるか?」という問題です。

つまり、噛む力に耐えられる強度がある材料なのか?ということです。

 

ハイブリッドレジン、硬質レジン、セラミックス(陶器の材質)、ジルコニア、金属など、いろいろ被せ物の種類はありますが実は全く硬さが違うんです。

 

強度=「噛む力に耐えられる力」

とお考え下さい。

噛む力というのは女性でも奥歯だと100キロ、男性だと200キロかかるといわれています。

その「噛む」という力を、支えられるかどうかが被せ物を選ぶ時にはとても重要なことなのです。

 

残っている歯との咬み合わせバランス

さらに残っている歯の状態によっても強度は変わります。

ほとんどの歯が健全な状態で残っている方

多くの歯が神経のない歯だったり、入れ歯だったりする方

1本の歯だけが今回治療しないといけなくなったという方

では「噛み合わせバランス」としての強度の考え方が変わってしまうのです。

ほとんどの歯がご自身の歯が健康である方の場合には、噛む力を残ってる歯で支えればいいですし、その弱い歯に対してあえて強い力を負担させる必要はありません。

 

しかし、もうすでに何本かの歯を失ってしまっており、残りの歯が何本かしかないという場合には本来の受け持つ力以上の力がどうしてもかかってしまうのです。

 

ブリッジ治療も同じです。

歯を失って、残っている歯で橋渡ししてつなげてなかったところに歯が入ったので歯が治ったと思われるかもしれませんが、実際には柱は少ないのです。

 

柱の本数分の力しか耐えられないのです。

ではどのくらいの強度が材質によって違うんでしょうか?

 

材質の硬さを知ってますか?

通常、硬いかどうかっていうのは硬さメガパスカルという単位で表現されます。

一般的にジルコニアは1000メガパスカルを超えるものをいいます。

では、セラミックスはどうなんでしょうか。

見た目がよくしたいと奥歯にセラミックスを使い、かつてセラミックスがどんどん割れてかなりの厚みを持って作らないと薄くてセラミックスでは壊れてしまうわけです。

 

前歯だったらあんまり力がかからなくとも大丈夫なので前歯だったら従来のオールセラミックスでも大丈夫かな?ということでいわれたそのセラミックスだと、わずか400メガパスカルです。

 

実はジルコニアの3分の1の硬さしかありません。

強度はたった3分の1程度でしか支える事ができないのです。

 

ではハイブリッドレジン、ハイブリッドセラミックスやレジンはどうでしょうか?

 

100あるかないかです。

ジルコニアからしたら10分の1以下の強度しかないのです。

その10分の1の強度で果たして何年噛むことができるのでしょうか?

 

もちろんその治療するは以外のすべての歯が頑丈で健康でほとんどのものがそこでお食事できるという方であれば、ハイブリッドでもハイブリッドセラミックスでもなんの問題もないかもしれなません。

 

奥歯には奥歯の仕事、前歯には前歯の仕事

しかし、残ってる歯が数本でそこでしか噛むことができない場合や、前歯だけでしか噛めていない場合にハイブリッドセラミックを被せてしまうと、あっという間に前歯が倒れてきてしまいます

前歯には奥歯で噛むような「物をすり潰す」ことはできません。

「物をすり潰す」というのは奥歯の仕事です。

奥歯の仕事を前歯にさせるとどうなるでしょう?

 

前歯はどんどん動いて倒れていってしまいます。

真ん中のあたりにハイブリッドセラミックの材質で使って果たして何年持つのでしょうか?

また、もし仮にもったとしても「すり減っていく」ということを考えるとおすすめできる材質とはとてもいえません。

 

どうして保険で認めているのか?

ハイブリッドセラミックの説明の最後に「ではどうして国は保険治療でプラスチックの被せ物を認めたのか?」というお話をしておきます。

 

その背景にあるのは

近年、金属の価格が非常に高騰している、ということがあります。

今まで保険治療で認められていた金銀パラジウム合金も何倍もの値段に跳ね上がってきて高級品、ぜいたく品になってしまったんです。

保険治療で認められていた金銀パラジウム合金の金属価格が高騰すれば国が保険でまかなえる予算を大幅に超えてしまうのです。

 

そういった理由から

保険治療でもハイブリッドセラミックのようなプラスチックの安価な被せものでも、使えるようにということで保険の適応ができるようになりました。

 

日本人は「保険で使えるだから安全安心」「国が認めているものだから安心」とおもいがちです。

しかし、保険で認められている材質だからといって安心安全というわけではありません。

ご自身のお口の中の状態に応じてできるできないは判断が必要かと思います。

そしてまた、新しいハイブリッドやジルコニアやセラミックスはそれぞれ特徴があります。

ですので、接着材で貼り付ける時にその特性を知らずにくっつけてしまうと実は本来の力を発揮できない、簡単に外れてしまう。という事がおこってしまいますのでそれぞれに応じた適切な処置が必要です。

 

虫歯治療や歯の神経治療をしたあと、または歯を白くしたいと審美歯科治療をお受けになる方で被せ物をどんなものにしようかなとお考えの方は、治療を受ける前に必ず知っておいて欲しいことがあります。

 

歯の被せ物をを選ぶ時に知っておくこと

    材質の強度は噛む力に耐えうるものなのか?

    他の歯との咬み合わせはキチンと設計に入っているのか?

    自分の歯と被せ物をくっつける時に使う接着材の相性を知っているのか?

最低でもこの3つはクリアした上で歯の治療をお受けになって下さい。

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