香川県高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
差し歯を入れた歯が知らないうちに歯の根っこが割れたり折れたりしてしまい
違和感を感じて歯科を受診した時には「歯を抜かないといけない」という診断を受け
ビックリされるというケースは少なくありません。
原因の多くは「歯根破折(しこんはせつ)」です。
差し歯がダメになる大きな原因は歯根破折
虫歯や歯周病によって歯を失う方が減っている一方で40代50代から増えてくるのが「歯根破折」です。
歯根破折とは咬み合わせの圧力により歯根が縦に真っ二つに割れてしまう症状です。
差し歯を入れている方の場合には差し歯の土台となる歯根内部の金属の芯棒が咬み合わせの圧力によって
歯根にヒビや亀裂を生じさせて、その後、徐々にヒビや亀裂が大きくなりある日突然バーンと割れたり折れたりしてしまうことが
多くあります。
歯根が割れるとどの歯科医院に行ってもほぼ「抜歯するしかありません」という診断となります。
保存して接着する方法もありますが、頑張って保存したとしても
もともとの強度が弱いものを無理に接着しているわけですので
その時その場はくっついてもすぐに同じように割れたり折れたりしてしまいます。
そうならないためにも
差し歯とは何か?構造はどうなっているのか?
差し歯がダメにならないために、何を気をつければいいのか?お伝えさせて下さい。
そもそも差し歯とは?
差し歯とは
差し歯とはご自身の歯根を土台に被せ物を入れる治療法のことです。
ご自身の歯の根っこがちゃんと残っている場合には差し歯の治療をすることができます。
インプラントと混同される方が多いのですが、インプラントは歯がない状態のところに人口の歯根を埋め込む治療です。
歯を抜かないといけないと診断を受けている方や、歯そのものがない状態では差し歯はできません。
差し歯とインプラントの違い
インプラントは人工的に歯根(歯の根っこ)を作る方法とイメージして下さいね。
インプラントと差し歯の違いは歯根があるかどうかです。
歯の根っこを失われた方に歯の根の代わりに骨の中にネジのようなものを入れるのがインプラントと言います。
差し歯はこうなっている
この図のようにご自身の歯の根っこに土台を入れて、その上に最終的な被せ物が入ります。
この時の土台は種類がいろいろとあります。保険で使われている多くは金属の芯棒で、メタルコアと言います。
これが金属の芯棒です。
こん芯棒の上に白い被せ物をしていることがあります。
被せ物は白いけれども、中の芯棒は金属の場合は多く
これが後になって、歯茎や歯の黒づみの原因となります。
差し歯の土台が破折
40代~50代にかけて非常に多くなってくるのが
過去に差し歯にした歯の根が折れたり割れたりして
抜歯しなくてはいけなくなった、という事例です。
歯根破折の問題は「ほぼ自覚症状がない」ということ。
痛いといった症状がないため、割れてしまってはじめて気が付きます。
患者さんご自身も定期的に歯科医院で歯石を取るなど、歯の清掃には非常に気をつけている方も
多く、まさかご自分が抜歯になるだなんて!と驚かれます。
500万円かけた前歯の差し歯が深刻な状態に!
以前、美容整形に一億円を投じた「整形男子」として有名なアレンさんがブログで公表していた「前歯の深刻なトラブル」をご存じでしょうか?
500万円かけた前歯の差し歯が大変なことになって放心状態ということを明かしていました。
アレンさんと同じような大変な状態になってしまい
吉本歯科医院に慌ててお越し下さる患者さんは非常に多いです。
アレンさんはある日食事をした際、「バキッ!」という音とともに鈍い痛みがあり
数日間は前歯でかめない状態が続いていたと言います。
痛みは数日後にはなくなったそうですが違和感が続いたため、現在滞在中の大阪にある歯科医院に足を運んだとのこと。
そこでレントゲンを撮ってもらったところ、歯科医から
「ジルコニアは硬いから割れないかわりに、逆に土台の自分の根本の歯に衝撃が来て、中で土台の歯が割れる事がある」と、
歯の土台が割れている可能性があることを指摘されたそうです。
この事態にアレンさんは「かなり深刻です」とコメント。
その理由について、
「ブリッジに前歯をしてて真ん中が1本欠損しててそれを、両隣の歯が支えてる。その両隣の土台の歯が中でボロボロに割れてるとしたら、歯が3本ない事と一緒で、支えが無くなる」と説明しており、「って事は、ブリッジ自体が難しくなる上に、入れていたジルコニアも、支えがないから再度入れられない事になるし、土台となる根本がなかったら、もはやジルコニアすら被せられない」
と最悪の事態を想定していました。
アレンさんのように前歯にジルコニアという硬い素材の歯を入れた方で
土台そのものが割れてしまったというケースは実は非常に多いのです。
土台そのものが割れてしまったとなると白い歯を被せることもできません。
ジルコニアという真っ白な歯を被せている
その土台となる支えの自分の歯は実は↑上の写真のような感じです。
差し歯で白い歯にする時に最も重要なのは咬み合わせ
前歯を白い歯にやり変える場合、ジルコニアという硬い素材を
選択される時には、必ず知っておくべきことがあります。
ジルコニアという素材は非常に硬いです。
硬いので割れません。
硬いからジルコニア(被せる人工の歯)は割れないかわりに
土台となっているご自身の根っこの歯に強い衝撃がかかります。
その衝撃により、歯の中にある土台であるご自身の歯が割れてしまうのです。
かみあう力のバランスによりその衝撃が必ず弱い部分にやってくるのです。
どんなに白い歯にお金をかけても
土台となる歯が割れてしまったら
その後はもう「抜歯」しか、ありません。
土台がない歯には白い歯を被せることもできません。
見た目だけ
その時その場だけ良ければいいと治療してしまうと
大変なことになってしまいます。
歯の治療で最も重要なことは
かみあわせです。
過去に差し歯をされている方は歯根破折に対する予防を早急に行ってください。
歯根破折は割れてしまってからでは、もう手遅れです。