光機能バイオマテリルアル研究会の主催する「光機能化インプラント研修会」 を受けてきました。

「光機能化技術」あまり聞きなれない言葉かもしれません。

これは紫外線を照射することによってインプラント本体が劣化をするのを 回復させる、そういう技術だそうです。

いろいろと言われていることが多いの で、本当のところはどうなのか、実際にその開発者である、アメリカ合衆国カ リフォルニア大学ロサンジェルス校、UCLA補綴学教授の小川隆広先生に直接お 話しをお聞きしたいと思い受講いたしました。

通常のインプラント、つまり 「チタン」ですけれども、チタンは時間がたつにつれその性質が変わる。

その ようなことが発表されました。

「チタンは非常に安定した金属であり、その表 面は酸化膜というもので覆われており物性は変わらない」それが定説でした。

 しかしながら、いろいろと調べていくうちに、「そのチタンの性質というもの が時間がたつにつれて性質が変わっていっている」そのようになるそうです。

何が変わるのかというと、まず表面の撥水性、「濡れ」というんですけれど も、私も接着剤の開発を行うにあたり、「濡れ」がいいかどうかで流れがいい かどうか、そういうことを研究もしていました。

通常のインプラントに水滴を 乗せると、はじきあって撥水性を示す。ところが本当のチタンは濡れがよく、 広くなじむ。

ところが期間が経過するとそういうことができなくなる。

それが 「骨結合(こつけつごう)」骨と結合するときに違うということが発表されて いました。

その新しい紫外線を照射するという方法を用いると、表面の濡れが 良くなる。

またチタンの表面にはカーボンがついている。そのカーボンを取り 除くことができる。

そして電化を帯びさせることができる。この3点が非常に重 要であり、特に見た目上の濡れではなく、電化を帯びるということ。

カーボン を除けるということ。

これによって骨がくっつくスピードを大幅に上げること ができる、そのように教えていただきました。

この技術はおそらく今のインプ ラントの世界においては、非常に画期的なものと思われます。実際、吉本歯科医院で使用しているブローネマルクインプラント、このマークIII・マーク IVが出た当初、「そのざらついた面によって血液の浸透というものがツルツ ルよりもザラザラの方が良くいきわたるのだ」ということを教わった記憶があ ります。

しかしながら、インプラント体によっては、その表面の濡れ状態が同 じブランド、同じメーカーであっても、同じ型番、同じブローネマルクであっ たとしても違うということは、何となくですが感じていました。また同じよう なことをおっしゃられる先生もいました。

「なるほど、このことがもしかする とずっと疑問に思っていたことの回答なのかもしれない」そのように思いまし た。ただ、まだこの方法は開発されて数年しかたっていません。

ですので、こ れが本当に患者さんのメリットになるのかどうか、その見極めは必要かと思い ます。

実際、今まで行ってきたインプラント治療でも、適切に行っていれば長 期に渡って安定した結果が出せております。この「光機能化技術」ということ を取り入れることによって、インプラントの安定性がさらに安定するのかどう か、本当にいいものかどうか、それはやっぱりある程度の年数が経過して評価 されるべきものなのかもしれません。

今回勉強をさせていただいて、「非常に いいものである可能性がある」そのように感じました。だだ実際に吉本歯科医 院に取り入れるかどうか、これに関しては「もう少し待ってもいいのかな」そ のように感じました。実際にその機械を導入しようとすると、300万円を超える 費用がかかります。

この300万円という購入をするということはつまり、その価 格は患者さんにやっぱり負担していただくこととなります。300万円の回収、回収という言葉が適切かどうかですけれども、利益が出てその中からの支払いに なりますので、実際には300万円どころかその何倍もの売上げ増が必要になりま す。

それに値する費用対効果があるのかどうか、これは即断するものではない と今は思っております。

もしかすると将来、吉本歯科医院にも導入するかもし れません。

しかし今は「少し様子を見てもいいかな」そんなふうに感じまし た。

確かに、歯がなくなられた方は早く歯が欲しいですよね。

ただ実際には、 その骨とインプラントだけで見ていいものではない。

特にオールオン4、すべ ての歯を失った方、すべての歯をインプラントにされた方、仮歯で様子をみさ せていただくんですけれども、だんだんと仮歯を使っている期間に顎の位置が 変わって行くんですね。

例えばテニスをされていた方、片方の腕だけ筋肉がつ いて、右腕と左腕では筋肉の差が歴然としてくる。そういうことって感じられ たことがあるかもしれません。

つまり「噛み癖」っていうんですが片方で、つ まり普段右でよく噛んでいるよ、普段両方で噛んでいない、片方が痛いから常 に反対側の片側で噛んでいる、そういう方は筋肉的に右と左のバランスが偏っ ていることが多いんですね。

全顎的な治療を行った場合には、わざわざ片方で 噛む必要性がなくなりますので、両方の筋肉のバランス、これが均等化してい きます。

右だけでしか噛めなかったのが両方で噛めるようになる、つまり右に はそれだけの筋肉が必要としていたのに必要でなくなる。

左に筋肉が少なかっ たのが、筋肉が衰えていっていたのが筋肉がまたついてくる。

そうすると顎は ぶら下がっているものですから、だんだんと元の位置に戻ろう戻ろうとするん ですね。

また総入れ歯を使われている方の場合には、下顎を奥に引っ込めて食 事をする習慣がついていることがあります。これが動かない義歯になったこと で顎が楽な位置、顎が楽な位置で噛みたい噛みたいと、顎が前に寄ってくるこ ともあるんですね。

その補正を仮の歯での期間、数ヵ月必要です。

ある程度安 定した状態になるまで何ヶ月もかかかります。

早いうちに本歯、本物の歯です ね、最終的な補綴物、上部構造とも言いますが、これを入れてしまってから顎 の位置が元に戻るつまりずれてしまったのでは噛めなくなってしまう。

もう一 度また仮歯に置きかえたり、もう一度作りかえたり、そんな遠回りな処置が必 要になることまで起きてしまいます。

ですから吉本歯科医院では、仮の歯で生活していただく期間をなるべく長期間とっていただくようにしております。

骨 と結合する期間が1ヵ月早くなる、もしかすると2ヵ月早くなる、これは画期的 なことかもしれませんが、実際にそれが仮の歯の期間を短縮し、最終的な治療 期間を縮めることになりうるのか。

これを考えると、劇的に早くなるとはやっ ぱり考えにくい。そのために300万円という投資を今するべきなのか、将来行う べきなのか、もう少し様子を見てから行うのか、それは考え方にもよると思い ます。

より早く、というようなお考えの先生にはいいかもしれませんが、今の 吉本歯科医院の噛み合わせというところを第一視点においたインプラント治療 においては、あまりメリットが大きいとも、費用に対するメリットが大きいと は考えにくいという結論となります。

この「光機能化技術」に関しては、新聞 や雑誌・テレビ等でも報道がなされておりますので、お問い合わせをいただき ますが、吉本歯科医院としては、将来導入してもいいかもしれない良い技術で あるようには思いますが、今現時点ですぐに投資して導入すると結論にはいた りませんでした。

以上、ご報告をさせていただきます。

この「光機能化技術」に関して、もっと詳しくお知りになりたい方は最近発売 された本がありますので、ご覧になってみてください。

週刊朝日MOOK、朝日新 聞出版です、『「いい歯科インプラント治療医」を選ぶ!』そのような本が出 版されております。『「いい歯科インプラント治療医」を選ぶ!』吉本歯科医 院も昨年、社団法人日本補綴歯科学会の専門医ということで、統計を取るため のアンケート、資料作りという依頼を受け、当院での実績、当院での治療費と いうものを記載させていただきました。

この本の中の272ページ・273ページ、 ここに小川隆広先生が記事を掲載されていらっしゃいます。ぜひご参考になさってください。またこの「光機能化技術」のグループが広告として何ページに も渡って記事広告を掲載されていらっしゃいますので、そこも参考になるかも しれません。

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