916日から18日まで、名古屋で開催されたインプラント学会に参加してきました。

 

今回のインプラント学会では、医療安全ということをメインに開催されていました。

 

特に安全、手術をする前のインプラントの手術をする前の検査。先に骨の状態であったり、神経や血管の状態、骨の状態を知ったうえで手術をする。

 

そのためにCTという装置があります。

 

そのCT装置で先に検査をして、実際に骨の中がどうなっているのか、先に十分な診査・診断が必要である。

 

それは以前からも私が申しているように、たった1本。

 

その1本のインプラントの手術においても必らず当院でもスイソCTの撮影を行っております。

 

ようやくその必要性というものが、学会でも論議されるようになってきました。

 

今回、CTの装置が各社から、何十社という台数が販売され、また展示され、その特徴等について講演がありました。

 

歯科用のCTでは得意・不得意があって、吉本歯科医院では今まで近くの総合病院において医科用のCTにおいて、その検査を行ってまいりました。

 

今回注目した一つの報告をご紹介いたします。

 

その報告によれば、CTを撮影したあとに、ダイコム(DICOM)データという国際規格である規格にのっとったデータを病院にいただくことができます。

 

そのデータを使って、どこの骨がどのような状態なのか、どこに血管・神経が通っているのか、そういうことを検査・解析していたわけです。

 

その中で吉本もお世話になっている大阪大学の十河先生の発表によると、実はCTでここに骨がある・ここに骨がないと思われていた場所に実際は骨があった・骨がなかった。そういうことがありうるということがわかりました。

 

この研究はCTの放射線が金属にあたり、その跳ね返りの現象によって写っていた、本来ないところにある光を何とかのけられないか、そういうことから研究が始められました。

 

ダイコムデータというのは、レントゲン撮影を、CTではレントゲン撮影を中心をぐるり周囲からいろんな方向から撮影をおこない、それを何枚も重ね合わせて1枚の写真の輪切りにします。

 

そして、それを何枚も撮影をする。

 

その輪切りの写真を作る規格なんです。

 

ところが、その輪切りをする前の元データ、実際にCTで撮影されたデータです。

 

このデータを見ると、実は骨がないと思われていたところに骨があった、骨があると思われていたところに実は骨がなかった。

 

そういうことが解ってきたのです。

 

何枚もの写真を合わせて出来上がっていますので、そのコンピュータ処理によって自動的にある部分は削除され、ある部分は追加され、そういうことが行われていたという発表でした。

 

この場合、非常に少ない、非常に厳密な場所での話しですので、すぐにインプラントの手術に影響する結果にはならないのですが、実際の今のデジタル化時代において、デジタルデータだけを信用だけをするのは非常に危険である。そのように感じました。

 

 

ただ、現在当院では医科用のCTを用いて、他の近くの総合病院にて撮影を行っていただいております。

 

しかしながら、近年その病院から「なるべく撮影を控えてほしい」そのようなご依頼がありました。

 

よく日本の医療機関においては、すぐにCT撮影をする、すぐにMRIを撮影する。「これは儲け主義なのではないか」「必要のない検査ではないのか」といった議論が行われることがあるんです。

 

ですので私もCTを撮影する「これは紹介した病院の利益にもなる」そのようにも考えていました。

 

ところが残念なことに「なるべく撮影する枚数・回数を減らしてほしい」というご依頼だったのです。

 

よくよくお話しを聞かせていただくと、医科でのCTの撮影はだいたい100枚程度。

 

しかも1ヵ所につき1センチや2センチ、そういう間隔をもって撮影を行っている。

 

それに対して歯科の場合は、範囲が狭い中で細かい神経・血管を探そうとするために、0.5ミリ間隔で撮影を行う。

 

その場合、上下のあごを撮影すると、まっすぐに切った場合は300枚。

 

ノーベルガイドという非常に傷を少ない、小さく穴を開けるだけ、大きく傷口を開くのではなく小さな穴を開けるだけで手術するノーベルガイドという治療を行う場合には、その精度をさらに出すために患者様のあごの骨を撮影し、ダブルスキャンというやり方によって、患者様のお口の中に入れた装置、この装置だけをもう一度CTで撮影をする。

 

そしてその二つのCTのデータをコンピュータ上で重ね合わせる。

 

そういう撮影をしますので、実際には600枚近くの撮影を行うことになってしまいます。

 

このことによって撮影するデータの容量、そして次の撮影までの間隔、これに支障が出てきたということらしいです。

 

イメージ的に思っていただければ、電球をスイッチを入れた。電球をしばらく使っていると熱くなりますよね。

 

その熱い状態で次々次々負荷をかけると、熱がどんどんどんどん上りすぎてしまう。

 

そのため次の患者さんの撮影をするときには、一旦熱が下がるのを待って、機械が冷えるのを待って撮影をする。

 

その時に通常の100枚程度を撮影する方法であれば、次々次々順番に患者さんの撮影を行うことができる。

 

しかしながら、数百枚単位で撮影を行った場合、熱がなかなか下がらず、結局予約通りに次の患者様を撮影することができず、長時間お待ちいただく。

 

そういうことで次々遅れていく。そういうことが起こってきたようです。

 

また記憶容量ということでは、この数年でもっていわゆるパソコンのハードディスクというものは非常に安くなりました。

 

記憶容量というのも非常に安くなりました。

 

しかしながらコンピュータのCTでは業務用ということで、なかなかそこまで安価な状況が作れていないようです。

 

ですので、その記憶容量を確保するにはシステム全体のメンテナンス・追加投資が必要と、そのようになるということがわかってきました。

 

どうもそのようなことから、今回のご依頼になったもようです。

 

なるべく撮影をする方向を一方向にする。で、またダブルスキャンをシングルスキャンにするといった撮影枚数を減らす。そういう条件下で今しばらく撮影を受けていただけるということにはなっていますけれども、実際に精度高くきちんと撮影を維持するというのは、今のように患者様が毎週のように手術している状況では、難しくなってくるかもしれません。

 

その場合には当院においても、高額なCT装置を設置することも考えざるを得ないかもしれません。

 

その場合にはどうぞご理解のほどよろしくお願いいたします。

 

今回、日ごろより私が岡山大学の研究施設においてもお世話になっておる中村先生が、今回のインプラント学会にあわせて新しく本を出版されました。

 

とてもいい本ですので、ご紹介いたしますね。

 

「日本人のための最新All-on-4マニュアル」です。

 


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All-on-4(オールオンフォー)はポルトガルのマロー先生がその方法を提案なされました。

 

吉本も数年前になるでしょうか、ポルトガルまで行き、実際にマロー先生からその術式を教わり、そしてまた、ほとんど歯がなくなった方、ほとんど歯がガタガタの方にインプラントを入れ、インプラントを入れたその日に仮の歯を入れ、ある程度のまったく歯のない状態。以前ですと、インプラントを骨の中に入れ、骨が安定する、骨とインプラントが安定する。

 

下のあごであれば3ヶ月、上のあごでは6ヶ月、何も力を加えない状態で安静に待つ。その間、取り外し式の入れ歯を入れて、入れるのをなるべく避けて、傷がなるべく広がらないように、なるべく力がかからないように、そのような術式でしたが、それをたったその日一日で、仮の歯まで仕上げるというものです。

 

実際にポルトガルで教わったことを日本で患者さんに治療を行ってきましたが、やはり実際にやってみて欧米人であれば何の問題もないインプラント、単なるネジですけれども、太くて長くて、そういうものが何ヶ所も入るような骨が欧米人にはあるのですが、日本人の場合には非常にケースとしては骨がある方は少ないということがわかりました。

 

今回その中村先生は日本人という骨格に対して、そのオールオンフォーをどのように適用すべきか、また場所によっては4本ではなく、6本においてその支えを作るべきである。そのようなことも書かれています。

 

今までそういう教科書といえるようなものがまったくなかった中なので、非常にこれはわかりやすく、良い本だと思います。

 

オールオンフォーは非常にリスクが高い治療であると言われてはいますけれども、実際に治療を受けられた患者さんは、非常に喜ばれております。ぜひこのような本を参考になさることをお薦めいたします。

 

1010日、歯科用CTを実際に毎日お使いになられている新潟の開業医の佐藤先生が香川県で講演をされる機会がありました。

 

そのお話しを聞いてまいりました。

 

CTといえば骨の状態の深いところの状態を診断する。

 

ですので、またその撮影する機械は非常に高価です。

 

歯科用のでも何千万、医科用になると何億という費用がかかりますので、いわゆる自由診療、高額治療に対して使うもの、そのような意識がありました。

 

しかし、この先生のお話しでは通常の診療において、例えば歯周病、例えばかぶせが外れた、例えば根っこの治療、そのようなことにもすべてCTを撮影を行っておる、そういうお話しでした。実際にそれがどれほどのメリット、どれほどのデメリットがあるのかお話しを聞いてきました。レントゲンの見方ということで、今まで当院の吉本歯科医院のホームページでも見方というのをお話しをしてまいりましたけれども、レントゲンというのは立体的なものを平面で透かしてみるようにして見ます。

 

ですから、例えば歯が折れている、歯に穴が開いている、これが横で開いている、横で割れている場合にはレントゲンで写ってまいりますが、いわゆる頬舌的、横に割れているのは見えるんですけれども、前後ろ、前後的に折れている場合にはその重なっている面が、立体的には見えるのですが平面にするとその破折腺というところがまったく見えません。

 

 

確認ができません。

 

ですので、外してみないと中が折れているか、割れているのか分からない。

 

つまり外してまずやってみる。

 

それからその状態をみて判断する。

これが常識でありました。

 

この場合、中の根っこは折れて動いているわけですから、周りの骨はどんどん溶けていきます。

 

ですのでその処置をしたら最後、元に戻すことは当然できませんし、またその歯の根っこすら抜かなければならなくなります。

 

CTにおいて、先にCTを用いて診断をしておけば、そういう破折そういうものは穴が開いている、そういうものを事前に見つけることが可能になります。

 

つまり無駄な治療の期間、無駄な痛いウミのある期間、こういうことを待たなくとも最終抜かなければならない歯は、必ずやっぱり折れていたりすると抜かなければなりません。

 

そういう無駄な症状を見ながら考える、そういうことをせずとも先にそういう診断ができれば、最初からそういう準備をして、そういう処置に取りかかることができるのです。

 

一般の方からみれば「レントゲンとかを見ればお医者さんは何でもわかる」そのように思われるかもしれませんけれども、実際には立体的なものをただ平面に透かしてみているだけ、実際の奥行きであるとか、奥がどうなっているということはまったくわからないのです。実際に外してみて、消毒してみて、症状が和らげば、腫れが引けば、もう一度かぶせができるかもしれない。で、実際にかぶせをしてみた、ところが、ひびが入っているので、その噛む力に耐え切れずにすぐに折れてしまう。そういうこともやはりあることにはあります。

 

 

結局その場合は、抜かないといけないということにつながります。

 

せっかく何ヶ月もかけて、いい状態にし、いい治療をしたにもかかわらず、結局抜かなくてはなりません。

 

非常にもったいないことです。

 

もっと早く、もうこの歯は持たないということが明確に分かっていれば、治療の方針はもっと早く次の手段に向かえていたかもしれません。

 

このようなことが診断できる、その診断が変われば、次の治療方針そのものが変わります。いずれこういう機械は各医院に設置される、そんな時代が来るかもしれません。

 

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