今日,他医院にてインプラント治療をされた患者さんが吉本歯科医院に来院されました.

東京から香川県の高松にご主人の転勤で来られたそうです.

5年前にインプラント治療を受けた左下とブリッジ治療を受けた左上に違和感が あるとのことでした.

吉本歯科医院に来院される前に数件の先生に診てもらってインプラントは異常 なしとのことでした.

さっそく,パノラマレントゲン(全体像)を撮影し,確認しました.
細部の確認も必要であったので,デンタルレントゲン(数本写る大きさ)も追 加撮影検査しました.

結果は左上ブリッジを支えている歯の根が破折していました.

歯根が破折していますので,残念ながら抜歯しなければなりません.

さてここで問題ですが,なぜ割れてしまったのでしょうか?

なぜ抜かなければ ならなくなったのでしょうか?

確かにインプラント治療でない患者様でも歯が割れることはあります.

しかし,インプラント治療を行った部分の咬み合わせの相手が早い時期に駄目 になるということは多くの文献でも発表されている周知の事実です.

今回であれば,左下がインプラントで,咬み合わせの相手は左上です.

理由は簡単です.

インプラントそのものは実はとっても丈夫なんです。

ですので噛めば何でも噛めてしまうのです.

 

しかし咬み合わせの相手である 歯は今まで何十年も頑張ってきたご自身の歯です.

ましてや歯を削ってブリッジにしたとても弱い歯なのです.

言ってみれば,大人と子供が相撲の取り組みをしているようなものです.
結果は見えています.子供は簡単に弾き飛ばされてしまいます.

5月に参加したインプラント研修会の感想でも記載しましたが,インプラント部 分だけ長期の予後が良ければいいのでしょうか?

吉本歯科医院でも患者様との治療計画で

「インプラントに費用がかかった から,他の部分は保険でいいわ」

「マウスピースなんか気持ち悪くて要らな いわ」とおっしゃられる方もよくいらっしゃいます.

確かにお気持ちは解ります.

しかし,インプラントは単なるネジです.

自分の歯のように細菌に対する抵抗 力もありませんし,少ない本数では長期の過大な咬合力に耐えることも出来ません.

お口全体のバランスや咬み合わせが非常に大事なのです.

他の部分が咬めない状態になると,必ずインプラント部分に咬む力が集中します.

そしてインプラント周囲の骨が耐えられずに溶けてなくなっていきます.

インプラント治療ではちょっとした咬合の調整が命取りになることがあります.

 

今回のような患者様も今までにも多く来院されています.

インプラント治療は受けたが,メインテナンスを受けてもらえない.

受けても らえても1年に1回もない.

受けたもののレントゲンを何年も撮影していない.

本当にビックリすることが多く有ります.

今回の患者様もメインテナンスや保護についてや将来起こりうることに関する 説明はなかったとのことです.

インプラント部分のかぶせ物が入って,ハイ終わり!では怖いものがあります.

Pjeturssonらも5年後にまったく偶発症を認めない患者は61.3%のみであると報 告しています.

つまりそれ以外の約4割の患者様は,何らかの偶発症に遭遇しているということです.
しかもこれはインプラント部分のみの話です.

インプラントから起因する他の 偶発症まで含めるともっと多くの方になると思います.

ご自身の歯でも同じですが,日々の歯みがきもしっかりしていただき,定期的 なメンテナンスを必ず受けていただくことが重要です.

本題に戻りますが,
今回の患者様の場合,

・左下インプラントの咬合力つまり咬む力に耐える強度を持った左上の設計が必要

・ご自身の歯に対する負担を和らげる,特に睡眠時の負担を和らげる為,咬み 合わせバランス保護のマウスピースの使用

・定期的メインテナンスによる咬合変化の確認

このようなことが今後も必要になってきます.

これらのことを全て考えて、吉本歯科医院でのインプラント治療には患者さまにきっちりご説明させて頂いております。

また、逆にこれらのことをご理解いただける患者さまとでないと良い関係を築くことは難しいと私は考えております。

 

他医院でのインプラント治療でのトラブルについて

https://www.8181118.com/implant/solution.php

 

 

 

 

 

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