なぜ吉本彰夫がここまで『歯科治療において最も重要なことは噛み合わせである』とお伝えしているのか、についてお話させて頂きます。
噛み合わせを基本として歯科の治療を考えていくということは、つまりは「痛いところだけを治す」「目に見えている部分のみを治療する」という対処療法的な発想とは対極にある考え方、「全体的な治療」ということを行う、ということです。
通常は、どこかが故障した、となると、その原因を突き止めようとします。
しかしながら、日本は戦後、国自体が、医療に対して「できるだけお金をかけない」という考え方が主流になってきました。
日本の保険制度で歯科の治療をしようと思えば、最低限の材料で、最低限の技術で、という内容です。確かに治療は受けられますが、あくまでも国が認めた最低限の治療なので、その治療によって「金属アレルギー」を引き起こそうが、歯周病が進行しようが、それは自己責任で判断してね、という実態があります。
また、ここまで医療がサービス業化してきてしまったのも、戦後はじまって以来ではないでしょうか?
医療側にとって、患者さんがいつしか、「お金を落としてくれるお客様」になってしまった、そう思います。
そうなってくると医療の本質というものが全く見えなくなり、医療までもが「お客さんを満足させるサービス業」になりはじめてきているように思えてなりません。
はっきり申し上げておきます。
医療はサービス業ではありません。
医療を提供する私たちに、患者さんに対して優しい心で接していく、共感していくという気持ちはもちろん必要です。
しかし、それは心の問題であり、こと、医療という技術に対してはサービス業ではないのです。
患者さんのニーズを重要視していく、ということは医療の本質とはおおよそかけ離れたものになってしまいます。
例えば、歯医者さんを例にすると
「ここが虫歯になったので、ここを治療して下さい」
「前歯が出っ歯になってきたからここの部分を引っ込める治療をして下さい。」
「ここだけを歯の掃除をして下さい」
「ここの歯だけ削って低くしして下さい」
このような患者さん側のニーズに医師は「ただ、患者さんのニーズに応えていく」ということが繰り返されているのが実際の医療の現場で多く行われていることです。
しかし、そこの部分が虫歯になるには必ず理由があります。
前歯だけが出っ歯になっていくには必ず原因があります。
同じ部分が腫れてしまうのには必ずその根本原因があるのです。
そのことを患者さんにご説明し、その根本原因を探り、治療をしていきましょう、ということをお伝えすると、
「虫歯を治してほしくていったのに、違うところを治された」
「前歯だけ引っ込めて欲しいのに、違う理由を説明された」
というような受け止め方をされる患者さんがやはり、今までは多かった、んですね。
先日、ある建築家の先生が患者さんでお越しになられた時に、私が歯の構造、顎の構造、噛みあわせのバランスをお話をさせて頂いた時にこうおっしゃられました。
「ああ、建築と全く同じですね」
構造が大事
基礎が大事
大黒柱が大事
基礎基本となることがそれほど重要か、また、そこを整えない限りどんなに上に良いものを乗せてもいずれは崩れてくる、ということをよくご存知の先生でいらしたので、私の話には「まったくその通りですよ」と、ストレートにご理解くださいました。
全国にもやはり、根本的な原因を突き止め全体的に治療をしていき、本当に治してあげたいと頑張る先生がいらっしゃいますが、そんな先生ほど受け入れられにくいような時代です。
これは私たち医療という業界だけが抱えている問題ではございません。
「目に見えているところだけをとりあえず良くみせる」
しかし、ひと皮むいてみれば嘘ばかり、偽造ばかりの張りぼてだった。
ということは、どこの業界でも起こっていることです。
本物が通っていかない
受け入れてもらえにくい
ということは、裏を返せば
、
それを受け取る人の質の低下です。
それを買う人がいる限り、ニーズはありますので、売り手はどんどん売ろうとするでしょう。
欠陥住宅や、偽造建築などは、わかりやすい例で、偽造することや、安かろう悪かろう、でも「わからなければいいや」というそれを実際に関わっている人の心のモラルの問題です。
そして、それをやっている人格、美意識、です。
「儲かればいい」という考え方で全てを計った時、そこには必ず「嘘」が出てきます。
私は、開業当時より、「根本原因は何か?」という全体的治療を行ってまいりました。
そしてここ2~3年で徐々にその考え方に共感して下さる方が増えはじめ、現在では、私の医院には「ここだけを治してくれたらいいから」という患者さまは、ほとんどお越しになられません。
それはなぜか?
と申しますと、「どこに行っても治らない」「何度も同じ症状を繰り返す」「噛めなくて死ぬほどつらい」という心底歯でお悩みになられてきた患者さんには、私の言うことが本当にストレートに「ああ、そういうことなんだ」と伝わっていったからだ、と確信しています。
対処療法的な治療をすることにって患者さんが負うリスクは
① 将来的に大きな費用を負担しなくてはならなくなる
② 将来歯を必ず失い、噛めない食べられない、というシーンに直面する
③ 対処療法をすればするほど、歯を失っていく
④ 痛い思いをする機会がどんどん増えていく
縁あって、吉本歯科医院にお越しになられた患者さんに対しては私は、対処療法的な治療を行うことはしたくはありません。
あなたの症状が今、そうなってしまった原因は一体どこにあるのか?
そして、今後あなたが快適に生きていくために必要な治療は一体何なのか?
10年後も、きちんと噛め、噛み合わせのバランスが整うことにより、お体全体の体調を整えていける、そんな全体的な治療を行ってまいります。