「歯の神経を抜かないといけないと言われたが、抜かずになんとかなりませんか?」というご質問を多く頂きます。

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このような質問の回答に関しては、まずそれぞれの先生によって専門が違うということが一つ大きいことがあります。

お医者さんであれば内科とか外科、いろいろあります。

同じように歯科でもいろんな実は専門があります。

看板とかに書いてはいけないという決まりがあるので、皆様方はあまりご存じないかもしれません。

詳しくは「専門の違い」のページをご覧下さい。


同じ患者さんが行かれたとしても、それぞれの先生の専門の立場で診断をし、治療の方針を立てますので、診断も治療方針も大きく変わります。

今回「歯の神経を抜かないといけないか?」という質問を言われた方々のお口の中を拝見すると、大きく二つに分かれます。

一つ目は神経が今まさにこの治療をしようとする際に、本当に神経を抜かないといけないという状況にある時。

「このままでは神経が死んでしまうので神経を取りましょう」という、「今は元気な神経であるけれども」という状態。


もう一つは既に神経が死んでいる、もしくは死にかけている

そのことによって今神経だった部分が腐敗している場合、要は「生ゴミとかが腐った状態だと思ってください。」という状況です。

なのでそのままにしておくと、どんどんどんどん腐っていくので除けなければいけない

つまり死んだ神経、もしくは死にかけている神経を除去しようというケース、

生きている元気な神経を取るのではなく、腐敗したものを除けようという意味合いで先生がそのように神経と取らないといけませんというお話しをされている。

この二つの大きなケースがあります。


すでに死んでいる神経、もうほとんど既に死んでしまっている神経、これはいくら専門が違うと言えど神様ではありませんので、その神経を蘇らせることは出来ません。

ですので、この場合にはきれいにその部分を除去し、清掃し、消毒し、治療ということが必要になります。

ここの処置に関してはほぼ同じです。

消毒の仕方は違います。

次にこの治療をするにあたって神経に触れるかもしれないので、神経を取る可能性があると言われた場合のお話しです。

通常歯科の治療ではどういうことを基準にするかということを大学で教わっているかと言いますと、

黒く歯が変色している部分、いわゆる目で見てわかる虫歯というもの。

そして虫歯菌というのは顕微鏡で見ないと見えないサイズですので、目で見て虫歯の部分を確認するということは出来ません。

ですので「う蝕検知液」というお薬があります。

その「う蝕検知液」を虫歯であろう個所に色を付けるわけです。

そうすると虫歯菌が多く残っている部分が赤く色が染まり、その部分を削って除けるという処置をいたします。

例えば転んで怪我をしたとしましょう。

その時に少し血がにじむことがあると思います。

もし表面に太い神経や血管があったら血が噴水のように飛び出してきます。

つまり太い神経や血管というのは人間の表面ではなく中のほうにあります。

歯も同じです。

歯の内部の深い部分には太い神経・血管があるのです。

そこを少しでも傷を付けると、例えば風船に針を刺すイメージです。

一気にパーンとはじけ飛ぶようにして、そこから血液が流れ出てきます。

もうこうなると何もすることはできません。

台風で強い風が吹いてくるのを立ち向かってそれに向かっていくようなイメージ。

流れ溢れ出てくる水を止めるということが必要なのですがそれはできません。

ですのでそこの太い神経・血管の近くを触るということが、神経を触ってしまえば中の状態がどうであろうと神経の治療を施すというのが常識となっております。

吉本歯科医院では、そういうことをすれば神経を取るという結果になりますので、神経の近くの虫歯部分を削るということ自体を行っておりません。

そこの部分を削らずとも置いておいても大丈夫なように消毒をし、菌を殺すという処置をしてしまうのです。

つまり神経・血管に近い部分を触らないということです。

触るから神経を取らなくてはいけなくなるのです。

ですから前の先生の所でぎりぎりまで悪いところを除けて、「ちょっと様子を見てみましょう」という処置をされてしまった時には、もうすでにぎりぎりのところまで穴が開いておりますので残念ながら、そのような殺菌をするという処置、もうすでに壁が取り払われていますので、そういうお薬を施すということが、もうすでに出来ない状況になっておりますので、やり方が変わってしまうのです。


テレビのコマーシャルで「隅々まで効くナントカ」という消毒薬、殺虫剤ありますよね。

あれを使うと煙が部屋の隅々まで充満して、隅々までバイ菌を殺すということが出来るということです。

イメージしてみてください。

この時に窓や戸を開けっ放しにしていたら全開にしていたらどうでしょう。

お薬はその窓から漏れ出し、そちらの流れの方が強いですから隅々にまでは煙が行き渡りません。

つまり薬が行き渡らないのです。

その薬を行き渡らせるためには、密閉する、封鎖するということが重要になってきます。


この密閉させるために表面の一層の糊しろになる部分、この部分はきれいな新鮮な場所がないといけませんので、そこは一層削ってきれいにします

しかし神経に近い部分の虫歯と言われている真っ黒い部分、ここを触ると神経を取らないといけなくなります。


ですので、その部分を触らずに殺菌して、殺菌剤を入れて封鎖し、殺菌するということをすれば神経を触らずに神経近辺のバイ菌を殺すことができるのです。

しかしながらほとんどの神経がもうすでに死にかけている、その場合にはいくら殺菌剤といえど効かないことはあります。


例えばインフルエンザ、思い出してみてください。

インフルエンザのお薬、「発症して何十時間以内にお薬を飲まないと効かない」ということをお聞きになられたこともあるのではないでしょうか。

つまり菌がある程度の量の場合には殺菌剤というのは効くのです。


しかしながら菌が増殖してしまって、ものすごい量の数になってしまってからではいくら薬と言えども充分にそれを押さえ込むことはできないのです。

ですからその発症している時期によって薬の効く効かないというのが決まるのです。


第一段階としてはその糊しろ部分を作れるかどうか。

そしてその薬を入れることによって密閉できるかどうかという状況によって変わるのです。


つまりもっと言えば乾かせるかどうか、「乾かせる部分にご自身の歯が残っているかどうか」ということが大事になります。


乾いた紙は糊でくっつきます。

濡れた紙はくっつきません。


一部分がくっついたとしても一部分が濡れていればそこから薬が漏れ出したり、そこに唾液や血が流れ込んできます。

また濡れてしまうのです。


一緒にバイ菌も入ってきてしまうのです。

ですからそういう条件を満たすことができれば神経を残すことは充分にできます。


ほとんどの方がこのケースに該当しますので初期の虫歯で、初めてこれは触ると神経を取らなければいけないかもしれない。

という診断を行なわれた場合に限っては、吉本歯科医院ではほとんど神経を取らずに治療ができております。

しかしながらもう既に死んでしまった神経の状態であるとか、既にもう歯茎の奥深く、骨のすぐ近くにまでバイ菌が進行し封鎖をできないという状況になられた方の場合には、残念ながら封鎖することができませんので殺菌ができません。


ですのでこの場合は神経を取ったり、歯を抜いたりする処置が必要になることはあります。

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