香川県高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
40代から増加している歯根破折
過去に神経を抜いて被せ物をしている歯や
ブリッジ治療を受けている歯の根っこが折れたり割れたりしてしまい
鈍い痛みを感じるなあと歯科医院を受診した時には
歯の根っこが折れている「歯根破折」なので抜歯するしかありません、という
診断を受けられる方が40代以上の方で増えてきています。
咬み合わせの圧力で歯根が割れる
どんなに定期的に歯科医院にお掃除に通っていても
歯根破折を予防するという意識を持っていない限り、歯は力により「破折」してしまいます。
咬み合わせの圧力により歯の根が縦に割れてしまうことは私の医院にお越し下さる患者さんの中でも非常に多い例です。
歯はタイヤのようにすり減る
この写真は歯は全部残っていて抜いたことがないという方のお口の中の写真です。
硬いものをよく噛んでいました。
確かに歯の本数は残っています。
しかし、歯の頭がほとんどすり減って平になってしまっています。
次の写真はすり減っていない健康な歯です。
こちらも同じように歯の本数がしっかりあります。
健康な歯はこの方のように山谷がしっかりあり歯の頭もすり減っていません。
しかし、長年ずっと使い続け硬いものを噛み続けて負荷がかかった歯は
このように歯の頭がすり減って平になってしまっています。
特に奥歯はかなりすり減ってしまっており、歯の中の神経が今にも露出しそうなほどになってしまっています。
このまま咬み続けるとどんどん歯が割れたり破壊されたりしていくことは
簡単に予想できます。
経年劣化ですり減る歯
車に乗られる方はタイヤ交換をされますよね?
ある程度するとすり減ってちびてきます。
最初は山谷がしっかりあり、溝が深くあります。
しかし、長年使っているとタイヤがすり減り溝が浅くなっていきます。
タイヤや山谷がしっかりあり、溝が深いから安全なのであって
溝が浅くなってタイヤ全体がすり減ってくると危険です。
実は歯も同じなんです。
どんどんすり減って、最後は割れたり折れたりします。
物体であれば必ず起こることです。
小さなヒビから縦割れに
私はよく患者さんに割りばしを使ってご説明をします。
これは割りばしの写真です。
割りばしに力がかかると隙間が開きます。
力がかからなくなるとその隙間は閉じます。
力がかかって隙間が開くと歯の場合には歯がしみます。
力がかからなくなるとその隙間が閉じてしみなくなっていきます。
割り箸を何度も何度も力を加えて、ある限界点に到達した時一気に割り箸は割れてしまいます。
われた割り箸の断面は硬いですよね。
直線的ですよね。
歯も同じように割り箸を割った時のように直線的に硬い面を残しながら割れてしまうのです。
割れた部分のヒビが有る程度進んで、噛むことにより歯を押し広げるような力が働く様になると、
歯の中の歯髄(神経)を刺激し痛みが出ます。
このように歯が内部から割れていくため、
通常の歯の割れよりも厄介ですし割れた隙間から歯の根元にばい菌が侵入するため歯茎も痛める危険性があります。
割れた部分から炎症が拡がり腫れたり痛みが起こり始めます。
また、一番怖いのは歯の根深くにばい菌が侵入し歯を支えている骨を溶かしてしまう場合があります。
いつ割れるか予測がしにくいのが歯根破折
雨垂れ石を穿つという言葉があります。
決して強い力だけで破折が起こるのではなく弱い力であっても蓄積されてしまうと小さな力が歯に穴をあけるのです。
噛む力によりおこる破折は、日々の噛む力が積み重なり起こります。
最初は小さなヒビや亀裂が入り、どんどん進行しある日突然まっぷたつに歯が割れます。
歯も金属のように経年劣化を起こし「疲労」状態になっています。
長く使い続けることによりある日突然割れてしまうのです。
咬みあう力に注意を!
歯が折れる大きな原因として、咬みあう力があります。
特に就寝中の歯軋りや無意識にやっている食いしばりなどにより女性でも100キロ、男性では200キロの力がかかっていると言われています。
最初は小さなヒビであっても毎日小さな力がかかり続けることにより歯は割れてしまいます。
人によっては歯科医院に定期健診に行った翌日に歯が真っ二つに割れてしまっていたという方もいらっしゃいます。
歯冠破折(歯の上側だけが割れる)のように1回でパーンと割れるというよりは、
歯の根っこに小さなヒビが入り、そのヒビがだんだん毎日の生活の中で持続的な強い力がかかることで、ヒビが徐々に広がっていって割れていくのが歯根破折です。
虫歯や歯周病で歯を失う方は減っています。
盲点となっているのは「咬みあう力による歯根破折」です。歯の根が割れたら抜歯しかありません。
歯根破折で抜歯になってしまうことがある、という事実を知って頂きたいと思います。