香川県 高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
ブリッジした歯が痛くて噛めない
というご相談で初診にお越し下さった患者さんです。
歯槽膿漏の進行により奥歯を2本抜き
なくなった部分には
2本を繋いで4本のブリッジがお口の中に入っていました。
ブリッジ治療をされたのは5年前です。
ブリッジ治療が終わった後は
「これでまた何でも噛める!」と喜ばれ
お肉やフランスパン、硬いおせんべいなどしっかり噛んでいたとのこと。
ブリッジ治療を受けられて3年が過ぎた事から
ブリッジがグラグラと揺れてきはじめるのを感じはじめました。
「揺れてきたな~」とは思ってはいたけれど
そのまま変わらずお食事を続けていました。
すると次は
お食事の時、噛むと何か神経に触るようなズキンとした痛みを感じるようになりました。
さらに冷たいものを飲んだ時、熱いものを飲んだ時に
キーンとしみる痛さを感じるようになってきました。
そして放置しているとついには
ぬるいお湯を口に含んでもキーンとしみるようになってきました。
これは困ったと思っていると
ブリッジ治療を受けた反対側の歯が
グラグラと歯が揺れ出すようになりました。
さらにブリッジを入れている反対側の歯までグラグラと歯が揺れだし痛むようになり歯科医院へ行きました。
すると
「もうこの歯は骨が溶け始めているので歯を抜かなくてはいけない」
と診断されました。
歯を抜いた後は、ブリッジ治療がいいですよとすすめられていましたが
今、4本の歯を繋いでブリッジにしている部分がグラグラしだしてこんなに痛くて噛めないのに
さらに、またブリッジ!!???
急に恐ろしくなったそうです。
「私のこの歯を抜いたらそのあとはどうなる?」
「もしかして一生このまま噛めないままの状態かもしれない?」
「本当にこの歯を抜かないといけないのだろうか?」
いろいろな不安が頭をよぎりご友人の紹介で吉本歯科医院をお知り下さり、お越し下さいました。
歯を抜かないといけないこの歯はもう抜くしかない
と診断されその後、多くの方はブリッジ治療を選択されます。
歯医者さんも歯を抜いた後は「ブリッジにしましょう」というご提案をされる先生も多いかと思うのです。
歯を失った部分に「入れ歯とブリッジとどちらがいいんですか?」
と先生にご相談されるとほとんどの先生は「ブリッジですね」とおっしゃられます。
その理由は
入れ歯よりもブリッジの方が噛んでも痛みを感じなく噛むことができるからです。
入れ歯のように自分で装置を外したり毎回装置を洗浄しなくてもいいから、です。
ではブリッジとはいったいどういうものなのか?
ブリッジ治療とは?
ブリッジとはその名の通り「橋」という意味です。
歯がなくなったところの両隣の歯を支えにして橋渡しをすることを意味します。
ブリッジにすると噛んだ時、歯茎にはそれほど力が伝わりません。
入れ歯は噛むたびに、ギュウギュウと歯茎に力が伝わっていきます。
だからブリッジは噛む時に痛みを感じにくいのです。
ブリッジは両隣の歯を大きく削り(健康な歯を削ります)ひっかけを作ります。
両隣の歯にひっかけている状態のものがブリッジです。
ブリッジは鉄棒に子供がぶら下がったようなイメージです。
両方の支えの2本の棒にぶら下がっているという状態ですね。
これを口の中とお考え下さい。
噛みます。
噛んだ時に、力はどこにかかりますか?
力が最もかかっているのは両隣の歯です。
つまり削られたあなた自身の健康な歯にもっとも負担がかかっているのです。
ブリッジの大きなデメリットは
両隣の削って支えにしている健康な歯に大きな負担がかかってしまう
ということです。
本来の何倍もの大きな負担がかかってしまうということです。
しかし両隣のご自身の歯で噛む力を受けているわけですので歯茎そのものにはあまり力がかかっていません。
比較的大きな力がかかってはいても「痛い!」というところまで感じないのです。
そこが大きな落とし穴でもあります。
またブリッジは入れ歯のように取り外しを行わないため見た目は自分自身の歯と同じです。
ですので違和感を感じません。
そういった意味で安易に歯を抜いた後にブリッジを選択される方は非常に多いです。
しかしそのブリッジにも限界がやってきます。
ブリッジ治療の限界
グラグラしはじめたり痛みがではじめた時には
もう手遅れである場合が多いのです。
手遅れとはブリッジを支えていたご自身の歯(削られた健康な歯)がダメになっていくのです。
歯の根っこを支える骨が溶けてしまったり歯の根っこが割れていたり欠けていたりといった状態になっているケースが非常に多いのです。
ブリッジがグラグラして噛めなくなったんです。
ブリッジが外れそうで噛むと痛いんです。
というご相談でお見えになった場合その多くはブリッジを支えていたご自身の歯の根っこが折れていたりダメになっている場合がほとんどです。
そうなった場合にはもういよいよ歯を抜いてしまわなくてはいけないということになります。
ブリッジをすると隣の健康だったご自身の歯が揺さぶられ根っこごとダメになってしまうということなのです。
そのことを多くの方がご存じありません。
ブリッジ部分がグラグラになって噛めない状態にまでなってしまうとその次には歯を抜いて入れ歯という選択になります。
もしくはインプラントという選択です。
しかしブリッジ治療により長年異常なまでの噛む力により骨が溶かされてきた方は歯を支える骨が大きく溶けてなくなっていることがあります。
そうなるとインプラントをするにも骨がない骨が少なすぎてインプラントができないという状態になってしまいます。
もちろん骨を作る技術により手術は可能ですが、期間と費用がさらにかかってしまうということになってしまいます。
歯を抜かないといけないと診断された時見た目も違和感がなくちゃんと噛めますよということでブリッジを選択される方が多いです。
ブリッジがお口の中に入った後
「さあ、これで噛めるぞ」
「さあ、これで普通の食事ができるぞ」
と今までのご自分の歯があった時と同じようなお食事の仕方お食事の内容をされていると大変なことになってしまいます。
そもそもブリッジには自分の歯と同じように噛める能力(性能)など、ありません。
ブリッジ=橋渡しなんです。
5本の歯をつないでブリッジにしているということは通常5人で支えなくてはいけないところをたったの3人で荷物を支え続けるということです。
しかも奥歯にかかる力が前歯の何十倍もの力になるのです。
ブリッジを選択される場合には
今まで通りの噛む力で食事はできない
ということを知っておかれて下さい。
ブリッジも入れ歯もただの噛むための道具です。
道具ですので使い方があります。
ブリッジの使い方
ブリッジの限界
入れ歯の使い方
入れ歯の限界
インプラントの使い方
インプラントの限界
残されたご自身の歯の使い方残されたご自身の歯の限界それぞれの道具でできることとできないことが必ずあるのです。
それを知らされず今まで通り硬いものを噛んでいるとあっという間にブリッジも故障します。
ブリッジが壊れるだけならいいですがご自身の歯まで一緒にダメにしていくのです。
歯を抜かないといけないと言われた
歯を抜きたくない抜歯が必要かどうかを診て欲しい
歯を抜いた後どうなるのか知りたい
歯を抜いた後の治療の選択肢に迷っておられる方はまずはご相談下さい。
歯を抜かれる前にご相談をなさって欲しいのです。
その後に選ぶ治療によって歯の抜き方がまったく違ってくるから、です。