香川県高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
顎関節症とは?
顎関節症とは、顎関節に対する負担が咬み合せなどにより、バランスを崩して強くなった場合に、関節円板がずれたり、関節円板に穴が開いたりすることによって進行する病気です。
さらに骨と骨がこすれあうようになると、顎の骨が磨り減っていく病気です。
かみあわせが悪いことでバランスが悪くなり、硬いものをこすりあわせると関節と関節の真ん中にあるクッションが潰れてしまい、
顎の骨が一番柔らかいのでそこに負担がきてしまいます。
膝にもクッションの役目をするお皿がありますが、そのお皿のようなものが顎にもあり、そのお皿を「関節円板」と言います。
この関節円板がずれたりすると顎の音がカクカクとしだします。
さらにこの関節円板の穴が大きくずれ、穴が開くことで顎の骨と頭の骨がこすれあってジャリジャリとする音に発展することがあります。関節円板が完全にずれたり、ひしゃげたりするとカクカクという音がしなくなってきます。そこまでいくと、口を開けようとしても関節円板がひっかかって顎の動きを邪魔します。
口が開きにくくなったり、口が開いたまま閉じられなくなったりするのは、こんな状態になってしまったことが理由です。
カクカクという音がしなくなったからといって「治った」ということではなく、さらに進行していたということはよくあります。
顎関節症は顎の骨が溶けていく病気です。
溶けた骨を再生することができないので、生涯予防し続けなくてはいけないものです。
お痛みがなくなったから、症状が感じなくなったから治療が終わりというものではありません。
一般的な顎関節症の治療
「顎関節症」のご相談をされた場合、一般的な医院では次のような対処をします。
①痛み止めの薬を処方
②やわらかい材質でマウスピースを作製(保険制度で認められている材質のみ)
③外科的治療(顎関節の手術)
問題点
本来マウスピースを使用する目的は顎関節に対する負担を軽減するため、咬み合せによる関節炎のバランスを整えるためマウスピースを使用します。
やわらかい素材のマウスピースを使うことによってクッション的効果が得られるので、関節への負担が軽減されますが、顎のかみ合わせによる左右の動きを軽減することはできず、上あごにつけるタイプしかありません。
また、やわらかい材質がゆえに、舌にふれる部分が大きく患者さまの違和感が大きいことも特徴です。
実際長期間使用しないといけないにもかかわらず、その不快感から使ってもらえないことが現実です。
硬いマウスピースではそのようなことも含めて可能です(自由診療)。
硬いマウスピースであれば、上につけるものも下につけるのもの作ることができます。
上につけるか、下につけるかはその患者さまの咬み合せで決まるのですが、柔らかい材質のものは下につけるものを作ると強度的に困難なため、上にしかつけることができません。
理想的な顎関節の治療法
顎のお痛みや顎関節のお悩みでお越しになられた患者さまにはまず、なぜそうなったのか?
という原因から探していくことがもっとも大切です。
顎関節症になる原因としては次の5つが考えれます。
①歯周病
②かみ合わせの悪さ
③奥歯がないことで歯並びが崩れている
④親知らずが放置されている
⑤その他、口以外からの要因
上記の(1)~(4)の原因のうち、全ての原因が当てはまる場合もあり、また親知らずだけが原因だったという場合もあります。
原因を探るためには歯科医師が、顎関節症が起こる原因を正しく理解していなければまともな診断をすることができません。
診断が変わればその後の治療も変わってきます。
この部分の治療を実際に受けられる患者さまにご理解頂けないと、どんなにいい治療をしても原因を取り除かなくてはまた同じ症状が出てくるという悲しいことになってしまいます。
顎関節症は、
よく高齢の方が「膝が痛い」「お皿が痛い」「骨と骨が擦れて痛い」と言っているような症状が顎に起こっているものとお考え頂ければと思います。
一時的に症状が和らいだといってマウスピースをはずして通常の生活を開始すると、さらに進行していってしまいます。
顎の骨の再生はできませんので、顎関節症は完治するということはあり得ません。
ただ、症状が軽くなった、または、感じなくなったというだけであり、完全に治るということは顎関節症にはないとお考え下さい。
きちんとしたマウスピースを作製し、毎日装着し、
顎の骨がこれ以上、溶けて磨り減っていくのを予防し続ける
という考え方です。
定期的に歯科医院に通い、顎の骨のレントゲン写真を撮影し、顎の骨の長さ、形態の経過を定期的に追っていくことがとても大切です。
ほとんどの医院さんでは、症状がでなくなれば「治った」となりますが、本来はこういう考え方が正解です。
過去には外科手術が多く行われていましたが、半数以上が再発したため、今では重症の方のみとなっています。
「顎関節症」で、お悩みの患者さまの原因は必ずしも一つであることは少なく、「親知らずと歯周病」「咬み合せ」「歯周病で奥歯がない」、など患者さまによって原因はさまざまです。
まずはお口の中を実際に診させて頂き、パノラマレントゲン写真などで患者さまの顎の骨の状態まで確認させていただきます。
それぞれの原因によって原因除去、もしくは、現状維持、悪化の遅延を目的に治療方針を患者さまとご相談しながら行なってまいります。
お気軽にご相談下さい。