香川県高松市の噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫です。
県外で上顎に数本のインプラント治療をお受けになられており、その後転勤があり治療後ほとんど
歯のメインテナンスには行っていなかったという方がご相談にお越しになられました。
ご相談内容は
インプラント周囲の歯茎から出血があり赤黒く腫れており
歯茎部分が下がって隠れていたインプラントのネジ部分が露出してきた
とのことでお越しになられました。
インプラント治療をお受けになられた方は「インプラントしたからもう大丈夫」
「インプラントしたから歯周病にはならない」と思われている方、非常に多いように感じます。
ご相談にお越し下さったこの患者さんも
①インプラント治療終了後のメインテナンスの重要性(特に最初の2年間は重要)や
②タバコ(喫煙)がインプラントをダメにすること
等は一切知らさせていなかったと
お話下さいました。
インプラント周囲炎
インプラント治療を受けた方であっても歯周病(歯槽膿漏)はあります。
インプラント治療を受けたらからもう大丈夫、ではなく、ご自分の歯と同じように定期的なメインテナンスを怠ると大変なことになってしまいます。
歯周病(歯槽膿漏)とは?
歯周病とは細菌によって引き起こされる感染症のことです。歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。歯と歯肉の境目(歯肉溝)多くの細菌が停滞し歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりしますが痛み等の自覚症状はほぼありません。歯周病が進行すると膿がでたり歯が動揺してきて、重度の歯周病になると最悪な場合には歯を抜かなければならなくなってしまいます。
日本人の30歳以上の約8割もの方が歯周病の患者と言われています。自覚症状がほとんどないため若い方であっても重度の歯周病になっている場合もあります。歯がグラグラ揺れ出すなど「おかしいな」と気がついた時には重度の歯周病になっており抜歯しか方法がないというケースも多いのが現実です。歯周病が進行すると、歯周ポケット(歯と歯肉の境界)が深くなり、歯を支えている骨が溶けてなくなっていきます。当然、支えを失った歯はぐらつき、やがて抜け落ちてしまいます。
インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎とは、インプラントが上記の歯周病と同じような状態になってしまうことを言います。ご自分の天然の歯の清掃が不十分だと歯周病になってしまうのと同様、インプラントの周囲の清掃を怠っていると歯周病と同じようにインプラント周囲炎になってしまいます。インプラント周囲炎とは、顎の骨に埋め込んだインプラントの周囲の組織で起こる炎症のことです。
インプラント周囲炎は、放置しておくと歯周病と同じように、インプラントを支える骨が溶けてしまいます。土台となる骨が溶けていくため、埋め込んだインプラントがぐらつき、最終的には抜け落ちてしまうことがあるのです。
インプラント治療後、歯磨きや、歯科医によるメンテナンスが不十分になると細菌が歯肉とインプラントの境目に侵入してきます。重症な場合には、インプラント周囲の歯茎も痩せて下がってきます。そしてインプラントを固定しつづけることが出来なくなってしまいます。
インプラントの初期段階の炎症は、歯周病と同じく、自覚症状(痛み)はないため放置されてしまうことが多くなりがちです。天然の歯の歯周病治療とは違い、インプラントが細菌に感染してしまうと完治することが非常に難しいのが現状です。
インプラント周囲炎になってしまう原因は?
インプラント周囲炎になる主な原因です。
①メインテナンス不足による細菌感染
インプラント周囲炎は、口腔内が不衛生な状態となって歯周病菌が増殖することによって引き起こされます。ご自身でも歯の清掃だけでなく、定期的なプロの機械的メンテナンスによってお口の中の衛生管理を徹底することが必要です。
②喫煙による血管収縮および血流障害
喫煙による原因。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管収縮や血流阻害などを引き起こし、インプラント周囲炎の発症リスクを高めます。
のようなことが考えられます。
吉本歯科医院ではインプラント治療後、最初の2年間は最低でも3ケ月に一度は定期メインテナンスにお越し頂くことがお約束です。患者様のお口の状態によっては月に1回お越し頂いている場合もあります。インプラント治療を行った方は状態を考慮したうえで定期的なメンテナンスを受ける必要があります。
インプラント治療を受けた方が細菌感染を起こして周囲組織の破壊が生じた場合、完治させることがが非常に難しくなってしまいます。そうならないためにインプラントに感染を起こさせないようにメインテナンスを継続しなければなりません。インプラント治療はとても素晴らしい治療だと考えています。適切なメインテナンスを定期的に行っている患者さんは10年経過しても問題なくご自分の歯のように噛める生活を維持しておられます。
インプラント周囲炎かどうかのセルフチェック
インプラントが1本でもお口の入っている方は下記の項目を☑して頂き、ひとつでも当てはまる場合には受診することをおすすめします。
□ インプラント治療後、歯科医師による診察を半年以上受けていない
□ 歯周病であると診察を受けたことがある
□ 喫煙している
□ 歯磨きをしていると出血する
□ 歯ぎしりが激しくある
□ インプラント部分が違和感がある
□ インプラント部分の歯茎が腫れている
インプラントを埋入しており、上記のチェック項目に当てはまる場合、一度検査をするのをお勧めいたします。